酒を造るということは、日本の文化を継承するということ。 酒文化の伝道する梅乃宿のポリシーをご紹介します。
SEASON 02
酒造りの担い手たち
vol.2 味、品質、そして量。すべてに妥協しない姿勢が、次へのステップになる。
製造統括部兼商品開発部 リキュール係 播野 真平
梅乃宿がつくるすべてのリキュールの管理と開発を担当しています。管理面では、原材料の確保やスケジュールの管理だけでなく、お取り引き先さまとの交渉も行います。新しいリキュールの開発にも取り組んでおり、試験や試作を繰り返しています。
リキュールについて、我々がもっともこだわっているのは、「おいしいリキュールをつくる」ということ。リキュールを生産する多くの企業が原価や販売価格に重きを置くなかで、梅乃宿は素材の良さを生かすということを重視しています。このため、原材料の確保は重要な業務の一つ。ふんだんに使用するリキュール用の果実は、漬け込む一年半以上前から交渉に入り、一年前には確保を完了するものもあります。新しい年のリキュールを待つ、全国、そして海外のお客さまに安定した味と量がお届けできるよう、確保する果実の量にも気を配っています。
こうして確保した国産素材の質の良さとたっぷりの量を、味に生かしている点も梅乃宿ならではです。梅乃宿のリキュールは多くのお客様に愛飲いただいているため、できることならもっと大量に生産したいのですが、素材の質を落として量を増やすことはできません。梅乃宿のリキュールに合った素材を厳選することが、安定した味と生産量につながっているのです。
また、リキュールをつくって瓶詰めをし、出荷した後のことまで考慮するのも我々の重要な仕事です。このため、瓶詰めした商品を1カ月、2カ月という単位で分析し、細かなデータを取っています。出荷後の商品は、保管状態にもバラツキがあるため、品質の安定や維持が非常に大切です。すべての方に梅乃宿がこだわる味を楽しんでいただくために、我々が努力を惜しむことはありません。
一方、果実を漬け込む日本酒と醸造用アルコールの配合にも気を配っています。これもおいしさを提供するための工夫の一つ。日本酒は素材との調和がいいのですが、その反面お酒の味が強くなってしまうため、日本酒にベストなバランスのアルコールを加えることで、柔らかくおいしいリキュールを生み出しているのです。伝統にこだわりすぎず、おいしさにこだわる梅乃宿の姿勢が、ここでも発揮されています。
日本酒仕込みのリキュールは、大ヒットし市場をリードしてきました。しかし、そのリキュールの市場にも変化が見えてきたと言われています。今求められているのは、万人受けするリキュールではなく、個性が強く尖ったリキュールなのかもしれません。それを梅乃宿が世に出せるかが、今後の大きな課題になってくると思います。ただ、これまで世の中になかった商品を発表した時、それを評価するのは、あくまでもお客さま。社会に評価されれば、それは新しい酒文化の誕生へとつながります。梅乃宿のリキュールも、この過程を経て多くのお客さまに認められ、愛されるようになりました。我々も、貪欲に経験を積み、世の中のすべてのものから刺激とアイディアを得て、次の酒文化をつくるようなまったく新しいリキュールを創り出していきたいと考えています。切り拓く面白さ、チャレンジする楽しさが、開発部の我々の原動力になっています。