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梅乃宿のパイオニアたち

酒を造るということは、日本の文化を継承するということ。 酒文化の伝道する梅乃宿のポリシーをご紹介します。

SEASON 04

梅乃宿ストーリー -あらごしれもん編-

第4回 最高のお酒を送り出すために

日本酒ベースの果実酒として、発売以来人気を博している梅乃宿の「あらごしシリーズ」。2017シーズンに仲間入りを果たした「あらごしれもん」も、シリーズの特長である果実を贅沢にブレンドした味わいで大人気商品になりました。今回は、製造の最終段階となる瓶詰め工程の担当者に、果実入りならではの難しさやこだわりなどを聞きました。

 

商品管理部 瓶詰係:浦谷 淳

 

———「あらごしれもん」の商品化には、どのタイミングで関わっていったのですか。

商品化が決定し、瓶詰め方法や火入れ(加熱殺菌)をどうするかについて相談を受けたのが正式なスタートでした。発売日と出荷予想を見据えて、どのくらいの量をいつまでに揃えるかというところから逆算し、瓶やキャップ、梱包材などの資材の準備と、瓶詰めのスケジュールを決めていきました。

———その一連の流れは、スムーズに進んだのですか。

資材の準備は問題なく進みましたが、苦労したのが瓶詰めラインの日程の調整です。最近は輸出を含めて業績が好調で、瓶詰めのラインはほぼフル稼働しています。そこに新商品が加わるとなると、従来の供給は途絶えさせずに、どうやりくりするかを調整して瓶詰めの予定を立てなければなりません。「あらごしれもん」の時もそこの工夫が大変でした。ただ、毎日忙しいのもお客さまに梅乃宿の商品を選んでいただいているからこそで、「ありがたいことだね」と現場のみんなに声かけをしています。

———実際に「あらごしれもん」を瓶詰めする際に、難しかった点はなんですか。

独特のフレッシュな味わいを楽しんでいただく生酒を除き、多くの日本酒には火入れ(加熱殺菌)という工程が必要です。火入れによって酒の発酵を止め、出荷後の味わいを保つのです。
酒=液体だけなら火入れはシンプルですが、「あらごしシリーズ」は果実をふんだんに使った商品です。果実=固形物を含む液体を火入れするとなると、固形物の中までしっかり規定の温度に達しているかが重要になってきます。もちろんpHや温度管理についての理論やデータはありますし、同じあらごしシリーズのみかんやももでの経験やデータの蓄積もあります。しかし「あらごしれもん」は新商品ですから、気を抜かずに念には念を入れてチェックしなければという思いがありました。

また、機械で瓶に入れる果実の量も1瓶について何グラムから何グラムまでと細かな指定があり、ここも難しかった点です。お菓子メーカーさんなどが扱うあんやクリームなら量の管理はしやすいのかもしれませんが、「あらごしれもん」で扱うのは天然の果実ですから、1回1回に入れる固形物の量にどうしてもバラツキが出やすいのです。計算上、瓶詰めに必要な果実とお酒をきっちり用意していても、1瓶に入れる固形物が計算よりわずかずつでも多めになればお酒が余ってしまいますし、逆もまたしかりです。もちろんサンプルを取って調べるわけですが、1本1本の果実の量や味わいを均一にするのが大変で、本生産に先立って仮生産をしたり、開発のメンバーと相談を重ねたりしました。

———固形物の入ったお酒ならではの難しさがあるんですね。

正直、液体だけのお酒の方が品質を管理しやすくありがたいというのが本音です。でも、あらごしシリーズは梅乃宿の看板です。それをより大きく育てていくために、瓶詰め担当としても細心の目配り・心配りをし、常に前向きにチャレンジしていく心構えが大事だと思っています。
「あらごしれもん」の商品説明を受けた時、お湯割りという発想やお酒とお湯の割合までしっかり考えられているのに感心しました。個人的にとても面白い商品だと感じ、ぜひ成功させたいと思ったのを覚えています。

———瓶詰めの担当者としてのこだわり、大切にしていることを教えてください。

個人的には密封にもこだわりがあります。キャップは、お客さまが開ける瞬間までお酒を外気から遮断する役割りを果たしています。品質保持のためには開かないくらいきっちりキャップを締めたいところですが、お客さまにとって開けやすい程よい堅さが大事。コンマ何ミリの世界で締める力を調整しています。

また、私たちの商品は、売る人がいるだけでも、開発する人がいるだけでも、製造する人がいるだけでも成り立たない、ということを常日頃から意識しています。いいお酒を開発し、製造して、瓶詰めしてお客さまのもとに送り出すという流れの中で、自分たちの工程は、お客さまのもとにお届けするまさに一歩手前。最高の商品を送り出すための最後の砦(とりで)といった意識はいつも胸に抱いて仕事に取り組んでいます。特に瓶詰めは作業の性質上、異物が混入しやすい工程です。「この工程で混入したら終わりだぞ」と口を酸っぱくして注意喚起しています。

———今後、どんな挑戦をしていきたいですか。

最近は、人をサポートする便利なものが増えています。酒造りの世界でも最新の機械や設備が増え、かつては1つ1つ手作業で行っていたことを機械でできるようになってきています。そうした利便性は受け入れつつも、手作業の時代から伝わる酒造りの“心”といった部分は、しっかりと後輩に伝えていきたいと考えています。

企画や開発には、夢や理想を追って挑戦する心が大切です。一方で、その夢を形にして実際に商品をお客さまに送り出す現場は、地に足をしっかりつけ、慎重に動くことが大事だと思います。現場を担う担当者の1人として、難題が持ち上がっても「できません」とは言わず、夢を形にするためにこれからもやれる方法を考え抜いていきたいと思っています。